他院で治らなかった根の治療を前歯の審美インプラントで改善

歯科インプラント治療

茨城 インプラント

他院で治らなかった根の治療を前歯の審美インプラントで改善

初診時30歳前後の男性です。右上の前歯1本について「他の歯科医院で根の治療をしたが、治らないので抜歯してインプラントにしたい」との事でした。

前歯のインプラント術前術後

《術前写真》初診時、前医に抜歯と言われた歯です
《術後写真》当院の治療後は、満足できる結果となりました

●インプラントの値段は税込み価格
インプラント体¥88,000-/本、アバットメント¥88,000-/本、人工歯¥110.000-/本、その他手術代などです。インビザライン矯正治療費税込¥704,000-~¥900,000

●手術の副作用として腫れや痛みが出ることがあります。
●リスクとして術後感染、将来的なインプラント周囲炎、人工歯の破損の可能性があります。

さて、彼はおおとも歯科に来て、どんな治療を受けたのか?本人の許可を得たので今から解説していきます。

デンタルレントゲン

レントゲン写真

真ん中の2本の歯のうちで向かって左側の歯が、今回お話する右上の歯です。

歯根先端付近は溶けて膿が溜まった状態です。

前医は根管治療に加え、歯根端切除術という「状態の悪い歯を残すための高度な外科手術」を行っています。

しかし、残念ながら今回のケースは失敗となりました。根尖外科手術の治癒評価の分類についての信頼できる論文によると1996年にMolven Oらは「根尖外科術後1年経てば、レントゲンで治療結果の成功、失敗の判定ができる」としています。その分類による判定結果です。

そこで、再び根管治療を挑戦するか否かについての検討ですが、科学的根拠としては、既に1990年の時点でSjogenらにより「根尖病巣がある歯の根管治療成功率はわずか62%である」事が示されていますので、前医の判断と患者本人の要望から抜歯するという判断を支持しました。失った歯は歯科インプラント治療により回復をすることになりました。

インプラントとブリッジのどちらが良いのか?

医療先進国では歯科インプラント治療による回復が第一選択です。抜歯後の欠損をブリッジで修復する方法では、周囲の歯を犠牲にするデメリットがあり、ブリッジの平均耐用年数も8年程と短いからです。

その点、ブリッジと比較して評価の高い歯科インプラント治療による欠損修復は周りの歯を犠牲にしません。また、歯科インプラントのサクセスレート(残存率)も高く、インプラントの5年後と10年後の残存率を調べた研究では、インプラント残存率が機能後5年で95%であり、10年後では86.7%です。(Pjetursson BE,et al.Clin Oral Implants Res 2004)

水戸インプラントクリニックおおとも歯科のインプラント残存率は世界平均よりも良い成績であり、累計で99.4%というインプラントのサクセスレート(残存率)を示しています。(2016年時点において)

さて、話を戻しますが「悪くなった歯を抜いて、そこにインプラントにすればよい」のかというと・・・そんな単純な話ではないのです。あなたは歯を抜くとどうなってしまうと思いますか?

おそらく「歯を抜いた後の顎の骨や歯肉の変化」など考えた事がないでしょう。多くの人は「抜かれたからなくなった」くらいにしか考えないものです。

今日、私のレポートを見たあなたはラッキーです。

今から覚えておいて頂きたい重要な情報が出てきます。

それは「歯を抜くと、歯の根が埋まっていた部分の骨は最初の半年で劇的に痩せて細くなり、その後もやせ続け、上の前歯では1年間で抜歯前の半分の厚さまでやせてしまう」という事です。本当に重要です。「歯を失うと、歯の周辺組織である骨や歯肉さえも失う」

という事実は忘れないで下さい。もし、あなたが綺麗で衛生的で長持ちする歯科治療を目指したいなら、これは無視できない情報です。大切なのでもう一度言います。

「歯を失うと骨や歯肉さえも失う」

でも、安心して下さい。水戸インプラントクリニックおおとも歯科では対応策をとることが出来ます。

2003年にIasellaらはJ Periodontalという信頼される科学雑誌に示した論文において「歯槽堤保存術を考慮した抜歯を行えば、歯槽堤の幅、高さの維持ができ、歯科インプラント治療に適した顎の骨が獲得できる事」を示しました。

その他、Sascha Jovanovic(サーシャジョバノビック)は多数の骨増生の論文を出し、抜歯によって失われた骨の解決法を示しました。Loma Linda大学のインプラント科教授Joseph Kanも審美的なインプラントの為の歯肉の温存など多数の論文を出しています。多くの優秀なリサーチャーにより、解決法が科学的に検証されていますので、それに従えば良い結果が出るはずです。

さて、前述の患者に戻りましょう。骨と歯肉の話は一旦保留しておきます。口腔内全体の検査結果によると問題は前歯だけではなかったからです。検査の結果、歯並びに問題があり、将来歯周病や咬合性外傷で歯を失うリスクが高い事が分かりました。

特に奥歯の一部は、クロスバイトという悪い状態でした。

クロスバイト

奥歯でしっかりと噛みしめの負担ができないというバーチカルストップの崩壊はとても深刻です。歯科医師はこの問題をスルーすべきではありません。患者が若い頃に対処できたか否かで将来残る歯数が違ってくるからです。私は、彼に口腔の現状とここから予想される未来を話しました。

すると彼は「歯をできるだけ失わないために」また「インプラントを長持ちさせるために」歯の矯正治療によって歯並びを改善するのが良い事だと気づいたようです。

  • クロスバイト左上奥歯は外側に向いています
  • クロスバイト
    理想形をコンピューターシュミレーションしてみました
  • クロスバイト
    横から見ると奥歯の上の歯は飛び出しています
  • クロスバイト
    横から見た理想形をコンピューターシュミレーションしたもの
  • クロスバイト顎の後ろから見れば奥歯がすれ違っています。噛んでいない状態がクロスバイトです。
  • クロスバイト顎の後ろから見た理想形をコンピューターシュミレーションしたもので、これを目指します。

「気づき」を得た彼の治療に対する希望は、以下の通りです

  • 予後の見込めない状況の悪い歯は抜く
  • 抜歯により骨や歯肉を減らさない治療法があれば受けたい
  • 歯科インプラント治療で欠損部を回復させたい
  • 歯矯正治療を行い、良い環境にして長期的安定を目指す

治療の為の費用と時間は、当初の想定よりもオーバーしたようですが、本当に良い決断をしたと思います。

さて、インプラント治療と矯正治療の両方を行う場合にどちらを先に行うべきか、という事ですが、特に決まりはありません。総合的に判断します。今回は、患者の要望「目立つ前歯には早くインプラントを入れたい」という事もあり、先にインプラントを埋入し、仮歯の状態で矯正治療を行う事とました。矯正が終わってから最終的な人工歯を装着するという治療計画です。

しかし、その前にやっておくことがあります。前述の抜歯後に残った骨と歯肉がやせるのを防ぐ手術です。言い換えれば、骨も歯肉も減らさずに守ってしまう抜歯術です。

それがリッジオグメンテーションです。同時に歯肉移植も行い、治癒を待ってからインプラント埋入しました。写真を見て下さい。

前歯の仮歯

写真を見ると抜く前よりも歯の付け根の歯肉の量は増えています。インプラントの仮歯は、この時点ではあえて短い歯にしておき、歯肉を温存してあります。矯正後に最終的な歯肉の位置を調整するためです。この状態で矯正治療に入ります。

さて、矯正の方法ですが、極力針金を使わない「マウスピースを使った矯正」を行っています。私たちが海外最先端のテクノロジーを積極的に導入している表れでもあります。これは動画で紹介します。

いよいよ最終補綴物を作りますが、仮歯の作り直しからです。仮歯の形が歯肉の形を決めますので仮歯のプラスチックを足したり、引いたりしながら適正な歯の形と歯肉の形を作っていきます。仮歯の付け根を膨らませると歯肉は根っこの方に移動し、へこませると歯冠の方向に移動しますので丁度いい場所を探します。そうして出来上がった仮歯の形と歯肉の形を技工士に伝えます。

  • 立体コピー▲歯型を採る為の部品に仮歯を立体コピーする
  • 歯型
    ▲これで歯型を採れば、歯肉も萎まない
  • 歯型の位置
    ▲インプラントの位置関係や仮歯と歯肉の形が同時に伝わる

技工士の仕事の質は、治療結果に大きく左右しますので、私は信頼できる技工士としかチームを組みません。技工士が優秀でも情報の伝達ができないと上手く行きませんので、患者の模型や患者の写真を見ながら電話やメールで情報交換をしながら満足できる歯を完成させます。

前歯のインプラント術後

術後の写真です。患者はとても満足してくれました。これからも歯のメインテナンスに通ってくれるとの事です。長い付き合いの程よろしくお願い致します。

術前術後

さて、最後に前後の写真を並べてみました。

もしかしたら、「変化は少しだけだ」と感じる人もいるかも知れません。しかし、どうでしょう。術前状態のまま20年が過ぎた場合と、術後の状態からの20年の健康状態の差は大きいと思います。残存歯数も違うでしょうし、それは心身の健康に影響するでしょう。今回の治療で、彼が健康な未来も手に入れたとすれば・・・考え過ぎでしょうか。もしそうなれば、それは素晴らしい事です。

おおとも歯科スタッフは、普段こんな事を考えながら仕事をしています。最後まで読んで頂き有難うございました。

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